2009年10月 6日

Mew: No More Stories Are Told Today I'm Sorry They Washed Away No More Stories The World Is Grey I'm Tired Let's Wash Away

Mew No More StoriesMew: No More Stories Are Told Today I'm Sorry They Washed Away No More Stories The World Is Grey I'm Tired Let's Wash Away(US盤)
ミュー: ノー・モア・ストーリーズ...(国内盤)
僕は、ぐっちゃぐちゃの状態が結構好きだったりする。まあ、仕事でやることが一杯ありすぎてぐっちゃぐちゃの状態は好きではないが。全てが整然と並んでいると、とても落ち着かなかったりする。夜も、あまりに静かだと、自分の鼓動や脈拍がすごく気になり、「心臓なんて止まっちまえばいいのに」、なんて思ったりもする。眠りにつくために不必要な音がすごく必要だと思う瞬間。

 音楽で言えば、そのぐっちゃぐちゃの状態が、ノイズであったり不協和音であったりする。変調もそうかな。そんな「不必要なもの」が、本来の輝きに、新たな彩りと質感を与えてくれると思う。僕がノイジーな音楽を好きな理由は、たぶんそこにあるのだと思う。

 4年ぶりに発表された3rdアルバム『No More Stories Are Told Today I'm Sorry They Washed Away
No More Stories The World Is Grey I'm Tired Let's Wash Away』(タイトル長すぎ!)を発表したMewは、現役で活動しているバンドの中では、ノイズや変調、不協和音の使い方が抜群に上手い、と思う。ファースト『Frengers』が変調と不協和音を使ったポップ、セカンド『And the Glass Handed Kites』が荘厳なアートロックだとすれば、本作は完全に「コラージュアートロック」といった趣。正直キャッチ-なメロディとかはグッと減ってます。さまざまな音域に可能な限りの音を詰め込み、一度ミキサーにかけてぐっちゃぐちゃにして、再度きれいに整理し直してみました、的な音。それでいて、ファースト〜サードまで統一感が取れているから、これがまたすごい。
※ちなみに、上記ファーストはメジャーデビュー後のことを指しています。インディーズで国内に配給がないものについては、カウントしていません。

 今年は三度目のサマソニに来てくれましたが、なんとタイムテーブルNINと被らせるというクリエイティブマンの暴挙により、泣く泣くMewをあきらめました。が、某巨大掲示板によると、やっぱりすごいライブだったらしい。こうなったら、2005年以来の単独来日公演、来てくれないかしら。

続きを読む "Mew: No More Stories Are Told Today I'm Sorry They Washed Away No More Stories The World Is Grey I'm Tired Let's Wash Away"

投稿者 gakuzou : 19:18 | トラックバック (0)

2009年10月 3日

PJ Harvey & John Parish: A Woman A Man Walked By

PJ Harvey & John Parish: A Woman A Man Walked ByPJ Harvey & John Parish: A Woman a Man Walked By(US盤)
PJ ハーヴェイ&ジョン・パリッシュ: ア・ウーマン・ア・マン・ウォークト・バイ(国内盤)

自分が異常なストレスに押しつぶされそうになっているとする。「職場のあいつが気にくわない」とか「上司と気が合わない」みたいな対人的なものでもなければ、社会的なものでもない。「男(女)であること」、「生きているから」、もっと生物の根源に関わり、自分では何の説明もできないものがストレッサーだとしたら?カミュやカフカが書く、不条理の原理みたいな。そんなとき、「表現する」というスキルを持った人は、どこから救われる部分があるのかもしれない。

 PJ Harveyの作品を聞くたびに、いつもそんなことを思う。その激しい音楽特性から、激情の人、そんなイメージのある彼女だけど、実はその激情の処理を、たんに大きな音と声で叫ぶというような単純な方法論には求めずに、もっと、自分の中にため込み、静寂や間といった、メタ音楽的な要素に昇華させながら上手に処理している気がする。

 『Dance Hall at Louse Point』以来となるJohn Parishとの共作は、アーティストとしてシンプルな欲求を処理したような、力の抜けた佳作。ソロとは異なり、何か生命起源的な危機もなければ、強迫観念もない。単純に、二人の考えるGood Musicを作り、実演した、そんな感じ。それでも、力強く、アーティスティック。

 感情や怒りを3コードのロックンロールに乗せてぶちまけることは、もしかしたら誰にもできることなのかも。その感情を一歩引いたところで客観的に眺め、噛みしめていくことで、その感情を強化しながらコントロールする。それができるのがPJ Harveyのすごさだと思う。この二人の作品は、その感情をクリエイティビティとアートに昇華しているのかもね。

続きを読む "PJ Harvey & John Parish: A Woman A Man Walked By"

投稿者 gakuzou : 23:31 | トラックバック (0)

2009年10月 1日

Kasabian: Kasabian

Kasabianのサムネール画像Kasabian: Kasabian(UK盤)
カサビアン: カサビアン(国内盤)

やっぱりバンドって、ライブを見なきゃダメだ。Kula Shakerの初来日公演、アルバムが気に入ってたので、観に行った。レコードのダイナミズムはどこにもなく、クリスピアン・ミルズの奔放なギタープレイ以外、全く見るところがなかった。僕の中でKulaの評価がだだ下がり。

 これと逆のことが、Kasabianにいえるかも。正直、このバンド、過小評価してました。そりゃデビューアルバムの時から騒がれていたし、『Club Foot』、すげぇかっこいい。でもどこか信じていないところがあって、2nd『Empire』、3rd『West Ryder Pauper Lunatic Asylum』と買い続けながらも、イマイチ入り込めないでいました。

 が、恥ずかしながら、今年のサマソニでフルセットのライブを初体験。ヒット曲がそろってきたこともあってか、ものすごく充実したライブだった。その後しばらくは、iPodでNine Inch NailsとKasabianを交互に聞いてたっけ。

 と、前置きが長くなってしまいましたが、これは記念すべきデビューアルバム。ライブを見た後で聞き直すと、やっぱりすごいアルバム。とらえどころのないリズム、理屈なくすっと叫べる歌詞、抜群のグライド感&グルーヴ。一曲一曲がもう一度ライブで聞きたくなる。曲と曲の間には、ものすごい剣幕で観客を煽るTom Meagunの姿が思い浮かぶ。

 やっぱり「ハイプ」の国、イギリスで息長く活躍しているバンドって、パフォーマンスがぬきんでているんだと思う。とりあえずこのアルバムを聴いて、ライブを観に行く。このバンドを評価するのは、それから。

続きを読む "Kasabian: Kasabian"

投稿者 gakuzou : 23:43 | トラックバック (0)

2009年9月29日

The Auteurs: Now I Am A Cowboy

The Auteurs: Now I Am A CowboyThe Auteurs: Now I'm a Cowboy(輸入盤)

この間、ぼーっと海外のWikipediaを見ていたら、Luke Hainesの名前を目にした。なんと久しぶり、公式サイトを見る限り、かなりお年を召された様子...。『Show Girl』の頃は、ぼっさぼさの長髪がどこから憂いを帯び、心が凍り付いたような表情とマッチし、音楽性も相まって、誰にもまねできない雰囲気を醸し出していたのに...。まあ、当時から髪は薄そうでしたが(笑)。

紹介する『Now I'm A Cowboy』は、The Auteursのセカンドアルバム。1994年発表。1994年と言えば、Brit Pop全盛期にさしかかるちょっと前で、国中が「クール・ブリタニア」に夢中だった時代。そんな中で、こんなペシミスティックなアルバムをリリースできる神経がある意味ですごい。まあ、偏屈で有名だったLukeにすれば、メジャーシーンの概況なんて、全く気にしなかったんだと思うけど。

ミニマルでエッジの効いたギター、間違いなくサウンド全体には効いているものの、過度な主張は控えたようなリズム、耽美的なメロディセンス。フロントマンであるLukeの声質に拠るところが大きいのかもしれないけど、アルバム全体が、攻撃的ながらもどこか壊れやすい二律背反性に満ちあふれている感じ。荒廃の進んだ都市に吹く冷たい風が、鬱蒼と茂った木々を揺らしている-そんな音像風景を思い起こさせてくれます。

90年代初期に聞けるPost Punkの流れを汲んだアーティストとしては、The Auteursってかなり貴重な存在なのかも。どこかShoegazerに影響されている部分もあると思うし。まだLukeがAuteursに夢中だった頃のアルバム群(本作とデビューアルバム『New Wave』)は、いま少しずつ流れが来ている80年代Shoegazer復活の流れを暗に予想していたのかもしれない、なんて勝手に思ったりもしています。

いや、昔に思い入れのあった作品を聞くってのも、なかなか乙なものですな。

続きを読む "The Auteurs: Now I Am A Cowboy"

投稿者 gakuzou : 16:43 | トラックバック (0)

2009年9月28日

The Big Pink: A Brief History Of Love

The Big Pink: A Brief History Of LoveThe Big Pink: A Brief History of Love(輸入盤)
ザ・ビッグ・ピンク:ア・ブリーフ・ヒストリー・オブ・ラヴ(国内盤)

いろいろあってブログ更新を休止していましたが、また少しずつやり始めようかと思っています!
 復帰第一弾は、The Big Pinkのデビューアルバム『A Brief History Of Love』をご紹介。ブログ更新をサボりながらも、ちゃっかり今年はSummersonicに行ったりして、ゲリラ豪雨で全身ぐしょぐしょになりながら、NINの『Hurt』で頬を濡らしていたりしたわけなんですが、(NINは別格として)今年のSummersonicで一番の発掘アーティストだったのが、このThe Big Pink。見る前は「名前ちょーダサイ」とか思っていたんだけど、暗いステージに二人が出てきて始まったライブは、轟音 wall of sound。顔も上げずにギターをかき鳴らす姿も、僕の趣味にドストライクでした。

 Robbie Furve(g/vo)とMilo Cordell(Key)によるユニットで、打ち込みと轟音をベースにしたシューゲイジング・ノイズ・ポップ。この二人、KraxonsやHorrorsを要するMEROKレーベルの主宰とのことで、いろいろとデビュー前から「もっともコネのある新人」みたいなことを書かれているようですが、そんなものはレコードさえ聴けば忘れてしまってもかまわないと思う。初期のJesus & Mary Chainを彷彿とさせるノイズの海と、Shoegazerの魂ともいえる「囁きボーカル」、そして打ち込みの電子感が何ともいえずモダンな雰囲気を醸しだす。「Shoegazerも進化しているんだなあ」と感じずにはいられない一枚です。

 結婚したり子供が生まれたりしていて、昔ほど音楽に投資できる余裕がなくなりましたが、その中で今年巡り会えたことに感謝できる一枚でした。
 

続きを読む "The Big Pink: A Brief History Of Love"

投稿者 gakuzou : 23:31 | トラックバック (0)

2007年2月26日

Franz Ferdinand: You Could Have It So Much Better

Franz Ferdinand: You Could Have It So Much BetterFranz Ferdinand: You Could Have It So Much Better(国内盤)
Franz Ferdinand: You Could Have It So Much Better(US盤)

 セカンド発表後の日本ツアーを武道館でやるほど大人気の彼らですが、正直言って、僕はあんまり好きではなかったっす。単純にダンサブルなインディーギターバンドとしてならいいバンドだと思うし、MTVでライブなんか見ても結構演奏はうまいと思う。だけれどもイマイチ好きになれないんですよね...。

 とかいいながら紹介しているわけで、なにかひっかかるものがあったんだろうと期待したら大間違い(笑)。たんに年末にHMVの特大セールで輸入新品が980円で売っていたので、「まあこの値段なら買ってやっか」と思って買っただけなのです。だったら書くなって(笑)。

 いや、なんであまり好きではないか、ということをしっかりと書いておかないとフェアじゃないな。要はハイプなニオイがするんですよ、イギリスのバンド特有の。あれ、この人たちエジンバラ出身だったっけ?ということはイングランドじゃないか、まあいいや。さっきも書いたように、ダンサブルなインディーギターロックとして十分評価できると思うのだけれど、ニューウェーブのリバイバルがきたら「新世代のニューウェーブバンド!」なんていわれちゃうところがとってもハイプっぽいわけで。ニューウェーブに独特なデカダンな感じとか、自殺したくなるような感じとか、不条理に対する陰鬱な怒りのようなものを全然感じないのよ。資本(糞ニーね)がからんだミュージックビジネスのニオイがプンプンですよ。

 こんな事書いているとファンに殺されそうなんで一応フォロー。しつこいようだけど、ダンサブルな要素を持ったインディーロックとしては秀逸なアルバムになっていると思います。シングルカットされたM2『Do You Want To』なんて、ロボットダンスしながら聴けそうだもの。だからこそ、時代のキーとなる「ニューウェーブ」なんて言葉を使わないで、たとえばHard-Fiみたいに、ディスコロックとか、そういう新しい名前で売り出せばよかったのに、なんてつくづく思ってしまうわけで。ロックンロール・リバイバルだったらアークティック・モンキーズとかの方が数段上だと思うし、つくづく中途半端な売り方に無念さを感じ得ないアルバムでした。

続きを読む "Franz Ferdinand: You Could Have It So Much Better"

投稿者 gakuzou : 22:22 | トラックバック (0)

2007年2月25日

キーン: アンダー・ザ・アイアン・シー

キーン: アンダー・ザ・アイアン・シー・深海(国内盤)
Keane: Under The Iron Sea(US盤)

ひさしぶりにCDを買いました。Keaneのセカンドです。前作がイギリス国内でも200万枚、世界では500万枚と大ヒットしてしまったわけで、さぞかし二作目へのプレッシャーは大きかったんじゃないかな。が、このギターレスの3ピースはやってくれたって感じ。

 そもそも、彼の命綱といってもいい楽器、ピアノは、メジャーな音を出していても、どこかノスタルジックで悲壮感のある響きを持ってる楽器だと僕は思っています。だからこそ、ファースト『Hopes and Fears』はM2『This Is The Last Time』みたいな明るい曲(Hope)とM7『She Has No Time』みたいな曲が並列で入っていても、どこかまとまった感覚があったわけで。

 どうしてもロックミュージックをやっていると、新作を作る際には「前作とは違うものにしなければいけない」という不文律みたいなものが前面に出てきてしまう。それは音楽産業の商業主義と音楽という芸術との埋めがたい溝になる部分なんだろうな。でも、彼らの場合は、ギターサウンドのようにディストーションをファズに変えれば音が目新しくなる、なんてことはできない、編成上の制限をも持っているわけで。

 はっきり言えば、このアルバムは、深化はしているけれど、前作と大きく異なる点はありません。前作ほどストイックにギターレスというわけではなく、ちょっとワウっぽいギターなんかも使っていますが、全体的な流れは前作とほぼ一緒。でも、しっかりと深化はしていると思うよ。陰のあるピアノはしっかりと残っているし、曲もスローテンポとアップテンポだけではなくて、ぐっちゃぐちゃのミドルテンポチューンとかもあったりするし。正直、売上的にはコールドプレイにはかなわないかと思うけど、この作品を聴くと、彼らが良質のバンドであることははっきりと感じ取れます。

 まあ、若い子たちにはもっと勢いがあってスタイリッシュな音楽を好むと思うけど、30を超えたおっさんにも、OLな女の子にも、ちょっと目線の広い若い子にも好まれるようなしっかりとした音楽性があるので、気になる人はきいてみてちょうだいです。ハイ。

続きを読む "キーン: アンダー・ザ・アイアン・シー"

投稿者 gakuzou : 21:13 | トラックバック (0)

2007年2月11日

David Bowie: Ziggy Stardust

David Bowie Ziggy Stardustデヴィット・ボウイ: ジギー・スターダスト(紙ジャケット仕様・国内盤)
David Bowie: Ziggy Stardust(US盤)

7周年記念レビュー第3弾。いわずとしれた、デヴィット・ボウイの超名盤『ジギー・スターダスト』です。僕は勝手にボウイの「アナザーペルソナシリーズ第1弾」なんて呼び方をしたりしています。まあ、正確に言えば、最初の作品『Space Oddity』で「トム少佐」Major Thomというペルソナを演じていたのだけれど、まああれは第0弾ってことで。

 この作品は、1972年発表で、メジャーとしては第3作目っす。それまでは前述の『Space Oddity』(1969年)、『The Man Who Sold The World』(1972年・NirvanaがMTV Unpluggedでカバーしてましたね)という作品をリリースしていましたが、この作品で突如吹っ切れたような感じ。まあ、この頃のボウイは「グラムロック」なんて言い方をされていましたが、その中でも非常にアーティスティックな立場にいた(はず)です。歌手になる前はパントマイムの勉強をしていた、という彼のことだし、アルバムに一つのキャラクターを与えて、ボウイ自身がそのキャラクターになりきる、というコンセプトアルバムでは世界初だったんでは?T-REXやゲイリー・グリッターら「グラムロック」勢とボウイとを最も大きく異ならせている点は、こうしたコンセプトが前面に出ている点。ちょっと下品な感じのあるグラムと比べて、上品なアートスクールロックに仕上がっています。

 今このレビューを書きながらボウイを聴いているのだけれど、いやほんとに、まったく捨て曲なしです、このアルバムは。「どこがグラムやねん!」とつっこみたくなるフォーキーなM1『Five Years』、サイケな名曲M3『Moonage Daydream』、布袋も大好きM4『Starman』、このアルバムを名作たらしめるM6『Lady Stardust』やM9『Ziggy Stardust』。ふつうに空で歌えるわ。

 すでに50歳を超えたボウイですが、まだまだやる気満々。つい数年前もウドーかなんかのフェスにもきてましたね。この頃の曲、いまでもライブでやっているのかな?

続きを読む "David Bowie: Ziggy Stardust"

投稿者 gakuzou : 22:28 | トラックバック (0)

2007年2月 9日

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ

The Velvet Underground & Nicoヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ:ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ (国内盤)
The Velvet Underground & Nico: The Velvet Underground & Nico(US盤)
7周年記念レビュー第2弾。このアンディ・ウォーホル画伯のバナナのジャケット、いわずとしれたヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコでございます。

これを聞いたのも中学生の頃だったはず。やっぱりさ、あの年頃って、キラキラしたものに憧れますよね。そういう意味では、ミュージシャンとかロックスターってすごいかっこいいものだっていうイメージなんだけど、この人たちの場合はそのイメージをうまくぶっ壊してくれた、という感じ。このアルバムを聴いてもらえればわかると思うのだけれど、演奏は下手だし、録音状態はかなり悪い。ミュージシャンなのに音楽が下手ってどういうことよっっって感じなわけ。むろん子供の頃だから、ものすごいショックを受ける。

 でも、聞いていると、とても不思議な感じ。M1『Sunday Morning』のあの不思議な浮遊感。M2『I'm Waiting For the Man』の微妙なレイドバック。M7『Heroin』の切迫感。M9『I'll Be Your Mirror』の悲壮感。むろん子供の頃だから歌詞なんて何歌っているかよくわからないけど、とにかくいろんな風景が頭の中をよぎった記憶があります。

 よくこのブログでも書いているのだけれど、僕の中での音楽のフックって、歌詞を聞かなくてもどれだけ音像風景が広がるかという点。言葉は言語だから、ソシュールじゃないけれど、一語を発するだけでそのイメージが頭の中に浮かんでくるわけ。それが日本語ならなおさらそう。でも音楽はただの音階。「じゃあ、悲しいという気分を音で表してみて」といわれて軍艦マーチを歌う人はあまりいないでしょう。イメージの伝わりにくい音階で、どれだけのイメージを聞き手に伝えられるかってのは、やはり才能なんだと思う。ルー・リードは、音階だけではなく、そこに広がる響きやエフェクトでそのイメージを伝える天才だなって思うし、この判断基準を作るのに大きく役立ったのがこのアルバムなのではないか、と思うわけで。

 というわけでみなさん、いちど歌詞を聞かないようにして音楽を聴いて、何を感じるか?そしてその感じたものと歌詞の内容とを照らし合わせてみてください。けっこう面白いですよ。

続きを読む "ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ"

投稿者 gakuzou : 22:57 | トラックバック (0)

2007年2月 4日

The Smiths: The Smiths

The Smithsザ・スミス: ザ・スミス(国内盤)
The Smiths: The Smiths(UK盤)

7年記念レビュー第一弾。何が7年かって?内緒です(笑)。
 第一弾ってことで、僕の音楽人生の中でもっとも意味深いアルバムをご紹介します。スミスの記念すべきファースト、1984年発表です。初めて聴いたのはたぶん中学校1年の時。当時はCDなんてものはまだ一般化しておらず、レンタルレコードショップでした。そこで流れていたのが、M2『You've Got Everything Now』だったと思う。今覚えば子どもだったなあと思うのだけれど、子どもながらになんだかものすごい衝撃を覚えました。

 ロックって、もっと享楽的で力強いものだと思っていた。でも、このアルバムの持つ脆弱な繊細さと耽美さは、既成概念を吹っ飛ばすような感じだった。つたないドラムとベース、悲しく響くジョニー・マーのアルペジオ、そしてモリッシーのファルセット・ヴォイス。「なんなんだ、この音楽は」って感じでライナーを読みあさった。オスカー・ワイルドからの影響や当時のイギリス社会の状況、音楽以外のいろいろな側面からの影響を放り込んで、音として昇華したのがこのアルバムだったわけ。いまとなっては当然なんだろうけど、子どもの僕にとってはかなりの衝撃だったわけです。「音楽ってこんな深いものなんだ」と。

 その後、同世代のUKインディーズの音楽を聴き漁るようにあった。そういう意味では、僕の原点のようなアルバム。モリッシー独特のペシミズム、ロバート・スミスの絶望感への傾倒、ジョン・ライドンの悪童っぷり、バーナード・サムナーのシニカルさ、今の僕の性格を形作っているさまざまな要素は、スミスから派生したいろんな音楽から吸収されたものなんだなって思うわけで。ペシミズム、絶望、悪童、シニカル、あれ、ポジティブなものが何もないじゃん(笑)。いや、この時代の音楽って、どうしても哲学的で徹底的なまでに客観的に自分を眺めているものが多いから、どうしてもネガティブな感情ばかりが表立ってくるんだよね...。たぶんバブルガム・メタルとか聴いて育ってたら、アッパラパーな人間になってたんだよ、きっと(笑)。

続きを読む "The Smiths: The Smiths"

投稿者 gakuzou : 22:32 | トラックバック (0)